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製図における溶接記号やその他の記号について

溶接について解説をしたいと思います。溶接の無い機械は殆どありませんし、図面書きをしていれば、一度は溶接指示を行う事があるかと思います。溶接は上手く使えば、部品点数の減少,加工工数の低下など様々なメリットがありますが、不用意な使用方法で溶接を行えば、溶接部の破壊などの大事故につがながりますので注意が必要です。

 

目次

1 溶接の種類

2 溶接記号と指示方法

3 具体的な溶接図示方法

4 センター穴記号について

1 溶接の種類

まずは機械設計において、良く使用する溶接の種類について説明したいと思います。

溶接方法は大別すると下記の三種類の物があります。

●圧接法

加圧溶接とも呼び、接合する材料の接合部へ機械的圧力を加えて行う溶接方法。

 

●融接法

溶融溶接とも呼ばれ、被溶接材料(母材)の溶接しようとする箇所を過熱し、母材のみ、または母材と溶接棒などを合金化させ溶融金属を作り、これを凝固させ、接合を行う方法。この場合は機械的な圧力は加えません。

 

●ろう接法

ろう溶接とも呼ばれ、母材を溶融する事は無く、母材よりも低い融点を持ったっ金属の溶加材(例えば半田や銀ロウ)を溶融させて、接合面に毛細管効果を利用して流し込みます。その際に起きる母材と溶加材との合金化反応を利用して接合する方法です。

 

下記によく使用される溶接方法について解説します。

●抵抗溶接(圧接法に分類)

電気抵抗による発熱を利用し、材料を瞬間的に溶融させると同時に強い圧力を負荷する事で接合します。代表的な方法としては、スポット溶接,プロジェクション溶接,シーム溶接,フラッシュパット溶接などがあります。

 

●アーク溶接(融接法に分類)

電気アークの熱によって材料を溶かして溶接を行う方法。最も広く行われている一般的な溶接法。

アーク溶接は溶接部の大気元素との反応による、特性劣化を防ぐ手段として、各種の不活性(イナート)ガス雰囲気中で溶接する方法があり、代表的なものに、

★TIG溶接(タングステン・イナート・ガスアーク溶接)

アルゴン,ヘリウムガスをイナートガスとして、殆ど全ての工業材料の溶接に用いられる。

 

TIG溶接の利点としては

①不活性ガスシールドで溶接金属への不純物混入が極めて少なく、高品質な溶接結果が得られる

②工業的に使用されるほとんど全ての金属の溶接が可能

③MAG溶接のような消耗電極式溶接で見られるスパッタの発生が無い

④あらゆる継ぎ手形状に適用でき溶接姿勢に制限が無い

⑤小電流でも安定したアークが得られ、薄板溶接にも適用できる

などが挙げられます。

 

TIG溶接の欠点としては

①溶接速度が消耗電極式溶接に比べて遅い

②シールドガスである不活性ガスが高価

③ガスシールドアーク特有の風の影響を受け易い

などが挙げられます

 

★MIG溶接(メタル・イナート・ガスアーク溶接)

アルゴン,ヘリウムガスをイナートガスとして、アルミ,銅,ステンレス,チタンなどの溶接に用いられる。

MIG溶接の特徴としては

①アークが安定でスパッタも少なく、ビード外観も良好

②ワイヤの溶融速度が大きく溶け込みが深く高能率

③アルミニウム、ステンレス、銅合金、チタンなどのあらゆる金属の溶接に使われ適用分野が広い

④不活性ガスシールドで溶接金属への不純物混入が極めて少なく、高品質な溶接結果が得られる

などが挙げられます。

 

★CO2溶接法,MAG溶接法

CO2・MAG溶接は、鋼のアーク溶接工法の中で最も多く使用されており、日本国内にある溶接物の内、おおよそ5割~7割程度が本溶接法による溶接であると言われています。

特徴としては、鉄鋼の溶接方法として歴史が長く、多くのノウハウが蓄積されている。その為、小物(板厚0.8mm程度)から大物(板圧300mm程度)まで幅広い材料に対して溶接が可能です。また、一般的な溶接方法として浸透している事から、溶接技術者も多く、設備を持っている工場も多い為、設計者としても利用しやすい溶接方法といえます。

 

●ガス溶接(融接法に分類)

燃焼ガスを用いて、材料を溶融させ接合する方法です。一般的にアセチレンガスと酸素を使います。特徴としては

①溶接箇所が見やすく、作業しやすい為、溶接不良が少ない。

②溶接速度が遅い。

③燃焼に使用するアセチレンガスには取り扱い免許が必要

などが挙げられます。

免許が必要な事や溶接速度が遅いことから、あまり効率の良い溶接方法では無いと言われています。

 

●レーザー溶接(融接法に分類)

レーザーの励起源としては主に、炭酸ガス,YAGが使用されています。

炭酸ガスレーザは、YAGレーザに比較して同じ出力であれば価格が安く、かつ高出力化が容易です。したがって、3キロワット以上の高出力炭酸ガスレーザが比較的厚板の溶接に採用されています。

YAGレーザの利点は、レーザビームの伝送に光ファイバーが使用できることです。そのため、ロボットに加工光学系を持たせて、3次元的な溶接に使用されています。また、発振器の小型化が容易なため数十ワットから数百ワットの小型のYAGレーザが電子部品など精密微細溶接にも採用されています。

レーザー溶接法の特徴としては

①従来のアーク溶接と比べてはるかに溶け込みが深く幅の狭い溶接が得られる

②高速溶接ができる

③抵入熱・高速の溶接であるため、ひずみの少ない溶接が可能

④レンズ、ミラー、光ファイバーなどを使ってレーザを精度よくワークに照射する事が可能で、また、レーザ出力を瞬時に制御できます。このため、複雑形状部品でも高精度で溶接できます。また、自動化が容易で高い生産性を得る事が出来る

 

 

一般的に使用頻度の高い溶接方法としては上記が挙げられます。以上で6-1溶接の種類は終わりです。

 

 2 溶接記号と指示方法

図面で溶接指示を行う場合、各種の記号を用いて、指示を行う事になります。下記に良く用いられる溶接記号と溶接補助記号を示しますので丸暗記して下さい。

 ●溶接記号一覧

●溶接補助記号一覧①

●溶接補助記号一覧②

上記の溶接記号は基本ですので、必ず覚えるようにしましょう。事項では具体的な溶接指示方法について説明いたします。

 

3 具体的な溶接図示方法

さて、本項では具体的な溶接指示のやり方を説明いたします。線の意味,記号のつけ方など基本的な事項から図例を持って説明いたします。

では、まず線の意味から順を追って説明していきます。

●説明線

 

●基本記号の記入方法

●補助記号の記入方法

●補足事項

①表面形状及び仕上げ方法の補助記号は、溶接部の形状記号の表面に近接して図示する。
②現場溶接、全周溶接などの補助記号は、基線と引き出し線の交点に図示する。
③非破壊試験の補助記号は尾の横に図示する。
④基本記号は必要に応じて組合わせて使用することが出来る。
⑤開先溶接の断面寸法は特に指示が無い限り、次のことを示す。
●S:開先深さSで完全溶け込み開先溶接
●○で囲ったS:開先深さSで部分溶け込み開先溶接
⑥すみ肉溶接の断面寸法は脚長。 等脚すみ肉溶接の場合は、1脚長だけを図示する。不等脚すみ肉溶接の場合は、小さい方の脚長(S1)を先に、大きい方の脚長(S2)を後にして、(S1×S2)と図示する。
⑦プラグ溶接,スロット溶接の断面寸法及び溶接線方向の寸法は、穴の底の寸法とし、断面寸法だけを図示する場合は、充填溶接を示すものとし、部分充填溶接の場合は、断面寸法である穴の底の直径又は幅を先に、溶接長さを後にして、(穴の底の直径又は幅×溶接深さ)と図示する。
⑧スポット溶接及びプロジェクション溶接の断面寸法は、ナゲットの直径とする。
⑨基線の上下の両側に図示する寸法が同じ場合は、上側だけに図示する。
⑩溶接方法などを特に指示する必要がある場合は、尾の部分に図示する。


基本事項は上記で終了です。

次に溶接記号の具体的な図示例を示します。まずは使用頻度の高いすみ肉溶接からです。

●すみ肉溶接図示例

 


次に開先(グルーブ)溶接の形状と用語及び図示方法について説明致します。

 

●開先(グルーブ)溶接の形状

●開先(グルーブ)溶接の用語

●レ形溶接の図示例

 

●スポット溶接の図示例

次にスポット,プラグ及びスロット溶接の形状と図示方法について説明致します。

●プラグ,スロット溶接の図示例

 

●全周溶接の図示例

次に全周溶接と試験方法の図示方法について説明致します。

溶接後の試験方法ですが、例えば無試験の場合と放射性透過試験を行った場合では、設計時の強度計算で用いる溶接効率が変化します。例えば旧圧力容器規格では、無試験だと溶接面積の0.5~0.6の強度。全放射性透過試験で0.8~0.9となっています。

溶接の用途,部位によって、板厚を大きくする方が良い場合もありますし、試験を指示した方が良い場合もあります。通常はコスト,納期と相談して決定します。

 

溶接記号と図示方法についてはこれで終ります。より詳しく知りたい方は、近所の溶接工場に遊びに行って下さい。工場の職人さん達は、自分達で色々な溶接用の治具を作成しています。

例えば、スコヤーとノギスを組み合わせた、直角,寸法を同時に測定する器具や、面白い形のケガキ針とか色々あります。

是非工場に遊びに行く事を御勧め致します。

図示方法については、上記で大概の指示が出来ると思いますが、機械設計便覧や機械設計製図便覧などを購入して、一度熟読される事を御勧め致します。

 

6-4 センター穴記号について

さて、本項では旋盤加工部品などに指示するセンター穴記号について解説致します。

 

センター穴の簡略図示方法についてはJIS B0041に規定されています。

センター穴とは旋盤,円筒研削盤などで加工する際に、加工基準となる穴を言います。このセンター穴はセンターと面接触をする面取り部と潤滑材の入る油溜まりによって形成されています。

センター穴の精度で旋盤,円筒研削の精度が決まると言っても過言ではありません。

センター穴にとって重要なのは、

●面取り角度精度

●面取り部の真円度及び面粗度

で、センター角には主に60°,75°,90°が使われますが、最も一般的なのは60°です。

 

では下記にセンター穴の形状と図示例を御紹介致します。

 

 

●R形センター穴

 ●A形センター穴

●B形センター穴

●センター穴図示例